建物の価値が変わる
もう40年近く建築に携わっています。
その中で、とても不思議に思うことがあります。
何故、日本の家は築後25年程度で価値がゼロになるのか?
どんな良い材料を使っていても、メンテナンスをしっかりしていても、その評価減はほとんど変わることはないのです。
つまり完全に消耗品としての位置づけです。
先進国の中では日本だけでしょう。
車でも、私が少年時代からあこがれていたトヨタ2000GTは、新車価格200万円が、今は4000万円。
スカイラインGTRは160万円が1500万円。
これらは極端な例ですが、クラシックカーで状態の良いものはすべて新車価格を上回っています。
今後、日本では、人口減少に伴いますます空き家問題が深刻化していくでしょう。
そのために国も中古住宅のインスペクション制度を充実させ、流通の拡大に力を注ぎ始めました。
手間とお金はかけ、それを評価した価格で売買される。
建物の価値がゼロになることは、徐々になくなっていくと思います。
ただし、その中でもどう考えても建て替えが得策だというものもあるでしょう。
そうです、モノによるということです。
建物が資産性を維持するならば、住宅取得は「貯蓄」となる。
それはまた国富となる。
これが成り立つには、土地の条件も重要です。
人口密度が保たれる地域であることと、建物の一定基準のコンディションが確認できれば、減らない資産として存続できるでしょう。
伊藤