熊本地震・能登地震に学ぶトイレの備え|停電時に強いのは「タンクレス」より「昔ながらのタンク式」である理由

滋賀県栗東市六地蔵で「いえのたね」を運営するベストハウスネクストの吉本です。

前回のブログでは、7月末に発生した熊本地震のデータをもとに「水(水道)」の復旧には時間がかかること、そしてお家での水の備えについてお話ししました。

熊本地震のデータから見るインフラ復旧の現実|滋賀で今すべき「水・電気途絶」に負けない家づくり

滋賀県栗東市六地蔵で「いえのたね」を運営するベストハウスネクストの吉本です。 2026年7月28日に発生した「令和8年熊本地震(最大震度7)」から1週間が経ちました 。被…

そして、水とセットで絶対に避けて通れないのが「災害時のトイレ問題」。

2024年の能登半島地震でも、被災された方々が一番苦しみ、健康被害にまで直結したのがトイレでした。 「水が出ない」「電気が止まって流せない」という事態は、在宅避難をする上で最も深刻なストレスになります。

新築をご提案する際、私たちはいつも「できるだけ機能が単純で、壊れにくい昔ながらのタンクがあるトイレ」をおすすめしています。OBのお客様 そんな話してたなぁっと思っていただけるかと思います(覚えてます?(笑)

もちろんこのようなアドバイスはしておりますがタンクレスの方も沢山おられます。

さて。。。

見た目がすっきりしてお洒落なタンクレストイレが全盛の時代に、なぜあえて私たちがタンク式を推奨するのか。 今回は各メーカーの停電時の動かし方の現実と比較しながら、その理由を検討してみましょう。

1. タンクレストイレは停電すると「ボタン一発」では流れない

タンクレストイレは、水の勢い(水圧)と電気式のバルブ・モーターを使って流す仕組みになっています。そのため、停電するとリモコンやボタンを押しても全く動かなくなります。

もちろん、各メーカーとも停電時に手動で流す仕組みを用意してはいるのですが……その操作がどれもかなり複雑なのです。

主要メーカーの「停電時の流し方」を調べてみると、このような手順になっています。

  • パナソニック(アラウーノ): 本体横のサイドカバーを取り外し、中の非常用手動ハンドルを工具や手で回して流す。または、別売りの非常用バッテリケースに9Vアルカリ乾電池をセットしてボタンを押す。
  • TOTO(ネオレストなど): 本体奥にあるサイドカバーを外し、隠れている非常用手動レバー(手動コード)を引っ張る(モデルによっては2秒以上引き続けるなどのコツが必要)。
  • LIXIL(サティスなど): 本体のトップカバーやサイドカバーを外し、手動操作リング(レバー)を回す、または引き上げる。

いかがでしょうか?

真暗な停電の中、大きな地震で動転しているときに、説明書を引っ張り出して「カバーを外して、奥のレバーを引っ張る」という操作がスムーズにできるでしょうか。 

ましてや、ご高齢のお父さん・お母さんが一人でこの操作をするとなると、ハードルが非常に高いと言わざるを得ません。

2. 昔ながらの「タンク式トイレ」は停電しても普段と全く同じ

一方、昔からある「タンク付きのトイレ(手洗いあり/なし)」はどうでしょうか。

タンク式トイレは、タンクの中に溜まった水の重み(重力)で便器へ流し込む非常にシンプルな物理構造です。電気は流す仕組みに一切関係していません。

つまり、停電になろうが暗闇になろうが、いつも通り横のレバーを「カチャ」と回すだけで、タンク内の1回分の水で普通に流れます。

操作に迷うこともなければ、カバーを外す必要もありません。子どもからお年寄りまで、誰でも一瞬で流すことができます。この「迷わなさ」と「壊れにくさ」こそが、災害時には何よりの安心になります。

3. 断水したとき(水が止まったとき)の正しい流し方

では、電気だけでなく「水も止まった(断水した)」場合はどうすれば良いでしょうか。

この場合、タンクレスでもタンク式でも、バケツで直接便器に水を流し込むことになります。

❌ やってはいけない間違い

タンク式トイレの「上のタンクの中にバケツで水を注ぐ」のはNGです。水が溢れたり、内部の器具が故障する原因になります。

⭕️ 正しい断水時の流し方

  1. 便器の周りに新聞紙やポリ袋を敷いて水跳ねに備える。
  2. バケツ1杯(約5〜6L)の水を、便器の中央(水溜まり部分)に向かって、少し高い位置から勢いよく一気に流し込む。
  3. 汚物が流れたら、最後に臭い返し(封水)のために静かに1〜2Lの水を追加で注ぐ。

バケツで直接流す際も、タンク式トイレのほうが構造がシンプルなため、水跳ねやつまりのトラブルが少なく扱いやすいというメリットがあります。

まとめ:見栄え(足し算)よりも、いざという時の確実さ(引き算)

お洒落で掃除がラクなタンクレストイレも魅力的です。 ですが、家づくりで本当に大切なのは、「万が一の災害や停電のとき、家族みんながパニックにならず、安全に暮らし続けられるか」という視点です。

複雑な電子制御やモーターを盛り込んだ設備は、便利ですが故障のリスクや停電時の扱いづらさがどうしても残ります。

だからこそ、私たちは

  • 「1階はあえてトラブルの少ないタンク式にする」
  • 「2階は絶対トラブルのないタンク式にする」

というように、無駄な複雑さを引き算した、シンプルで頑丈な住まいづくりをおすすめしているのです。

よくある質問(Q&A)

滋賀で防災に強い家づくりやトイレ選びをご検討中の方へ、重要なポイントをQ&A形式でまとめました。

Q1. タンクレストイレは停電したらまったく使えなくなりますか?

A. 電気ボタンでは流れなくなりますが、本体のカバーを外して奥の手動レバーやコードを操作するか、乾電池をセットすることで手動で流すことができます。ただし、非常時の暗闇の中でその操作を行うのは高齢者などにはハードルが高いため、事前の確認が必要です。

Q2. 新築でトイレを選ぶ際、災害に強いおすすめの組み合わせはありますか?

A. 停電時でもレバーひとつで普段通り流せる「シンプルなタンク付きトイレ」が最も災害に強いです。デザイン性を重視して1階をタンクレスにする場合でも、2階のトイレは停電・水圧低下に強いタンク式にしておくのが非常に賢い選択です。

「うちの家族に合った、災害時にも慌てない設備選びについて相談したい」 「見栄えと防災性能、どちらも諦めない予算バランスの取り方を知りたい」

そう思われた方は、いつでも栗東市六地蔵の「いえのたね」へお越しください。私の過去の実務経験も含めて、あなたのご家族が30年先まで、そして万が一の災害時であっても安心して笑顔で暮らせる住まいづくりを、お手伝いさせていただきます。