LIXIL・TOTOの歴史に学ぶ。一度上がった建築費が絶対に下がらない理由

「もう少し待てば、建築費は下がりますか?」

「これだけ物価が上がっているなら、数年待てば少しは落ち着いて安くなるんじゃないか?」

最近、栗東や湖南エリアで家づくりを検討されているお客様から、このような切実なご質問をいただくことが本当に増えました。少しでも安くなったタイミングで建てたいと思うのは、当然ですよね。

中東情勢や円安のニュースを見るたびに、「これが落ち着けば……」と期待したくなる気持ちは痛いほど分かります。

こんにちは。滋賀県栗東市六地蔵で「いえのたね」を運営するベストハウスネクストの吉本です。

お気持ちは本当に分かりますが、20年以上この業界の現場に立ち、過去の歴史と数字を見てきた私たち。正直に申し上げます。

「もし家を建てる予定があるのなら、絶対に今すぐ動いた方がいい。なぜなら、これからの人生において『今この瞬間』が一番の最安値だからです」

なぜ「待つこと」が大きな大損に繋がってしまうのか。住設メーカーの歴史と、これからの金利の現実をもとに解説します。

過去20年の歴史が証明する、メーカーが「値下げ」した事例は一度もないという事実

「材料安になれば、いつか価格は下がるはず」という一般の感覚と、実際の建築業界の仕組みには大きなズレがあります。

結論から言うと、LIXILやTOTOなどの主要住設メーカーの歴史において、全体的な価格改定で「値下げ」に踏み切った事例は過去20年間で一度もありません。

ここ20年ほどを振り返ってみましょう。世界的な危機が起こるたびに、価格は階段を上るように上がってきました。

  • 2008年頃(リーマンショック・原油高騰): プラスチックや物流費の高騰を理由に各社一斉に値上げ。その後、世界的大不況で原材料費は一旦落ち着きましたが、メーカーのカタログ定価が下がることはありませんでした。
  • 2014年〜2015年頃(アベノミクス円安): 急激な円安により、輸入に頼る銅、アルミ、ステンレス、陶器の燃料コストが直撃。再び値上げ。
  • 2022年〜2024年(コロナ禍・ウッドショック・ウクライナ情勢): 半導体不足やアイアンショックが重なり、ほぼ毎年(年に2回も)値上げを繰り返しました。
  • そして直近(2025年〜2026年): コスト高騰の波は止まらず、LIXILでは水栓金具やサッシ、洗面化粧台などが10%〜40%もの大幅な値上げを続けています。

一度上がった定価は、原油高や円安が落ち着いた時期であっても据え置かれるか、次の危機でさらに引き上げられるかのどちらか。これが、この業界の現実なのです。

なぜ価格は下がらない? 待っている間に「金利」まで上がるダブルパンチ

「材料の原価が下がっても、価格が下がらない理由」は主に2つあります。

  1. 人件費(労務費)と物流費の上昇: 製品を作る工場の人手不足、運ぶトラックドライバーの確保費用(物流コスト)は右肩上がりです。材料安のメリットなど、簡単に打ち消されてしまいます。
  2. 省エネ・高性能化による仕様の底上げ: 私たちがこだわる「断熱性能」の義務化に伴い、サッシひとつとっても昔のアルミサッシから、高性能な樹脂トリプルガラスへと標準が変わっています。中身そのものが「より良いもの」に進化しているため、価格の基準そのものが下がらないのです。

さらに、今家づくりを先延ばしにする最大のリスクは「住宅ローンの金利上昇」です。

物価が上がるだけでなく、これからは金利も上がっていく時代です。 仮に、3,000万円の住宅ローンを組むとします。もし金利がたった「0.5%」上がっただけで、35年間の総返済額は約300万円も跳ね上がります。

「建築費が安くなるのを待とう」と3年待っている間に、建材の物価はさらに上がり、住宅ローンの金利も上がって返済額が増えてしまう……。これでは待てば待つほど、家計が苦しくなるという最悪の悪循環にハマってしまいます。

 今の物価を前提に「無駄のない設計」で建てるのが最強の自衛策

以前のブログで、「家の予算は設計者次第。削るべきは面積の無駄、削ってはいけないのは性能と構造」とお話ししました。

家は住みながら育てるもの。滋賀の注文住宅 「おおらかな家づくり」

家づくり、少し「難しく」なりすぎていませんか? 「性能は?」 「耐震は?」 「空調は?」 「素材は?」 「予算は?」 家づくりを考え始めると、次から次へと大切なキー…

「安くなるのを待つ」という不確実な未来に賭けるのは、自衛策にはなりません。 本当に賢い選択は、「これ以上高くなる前の『今』、総二階のような形がシンプルで、廊下などの面積に無駄がない、性能の良い(住んだあとに光熱費がかからない)住まいを建てること」です。

家づくりは足し算ではなく、最初から総予算を決めて引き算で組み立てるもの。性能や構造にはこだわりますが、何より大切にしたいのは住む人の心地よさです。お客様には不安に振り回されることなく、おおらかな気持ちでこれからの家づくりを心から愉しんでほしいのです。 

「我が家の予算で、今すぐ動くとしたらどんなスケジュールになる?」 「金利や物価高に負けない、無駄のない間取りを見てみたい」

そう思われた方は、いつでも栗東市六地蔵の「いえのたね」へお越しください。ゆっくり家造りを考えていきましょう。

改定時期メーカー主な対象品目と改定率(値上げ幅)メーカー発表の主な理由
2008年
TOTO
LIXIL
(当時INAX)
衛生陶器、水栓、ユニットバス等
【約5%〜12%】
原油価格の高騰、金属原材料(銅・亜鉛等)の歴史的な高騰による製造・物流コストの上昇。
2014年
〜2015年
LIXIL
TOTO
外装壁タイル、サッシ、水まわり等
【約3%〜10%】
アベノミクス以降の急激な円安の進行。原材料・エネルギーコストの継続的な上昇。
2019年
春・秋
LIXIL
TOTO
住宅サッシ、エクステリア、トイレ等
【約3%〜12%】
物流費の深刻な高騰(ドライバー不足)、原材料(アルミ、鋼材)の価格上昇。
2022年
春・秋
LIXILサッシ、ドア、シャッター、水まわり等
【約4%〜12%】
新型コロナに端を発するサプライチェーン混乱、鉄・アルミ等の原材料、原油価格の高騰。
2022年
10月
TOTO衛生陶器、ウォシュレット、システムキッチン、システムバス等
【約2%〜13%】
各種原材料費、物流費等の上昇が企業努力を超えるレベルに達したため。
2023年
4月・6月
LIXIL住宅サッシ、ドア、インテリア建材、トイレ、浴室等
【約10%〜27%】
国際情勢(ウクライナ危機等)の緊迫化に伴う、原材料・エネルギー価格の大幅な高騰。
2023年
8月
TOTO衛生陶器、ウォシュレット、水栓金具、システムバス等
【約3%〜21%】
引き続き先行き不透明な外部環境(原材料費、物流費、エネルギー費の高騰)。
2024年
1月
LIXIL住宅サッシ、ビルサッシ等
【約10%〜15%】
金属原材料の価格高止まり、および労務費・物流費(2024年問題)の上昇。
2025年
10月
TOTO衛生陶器、ウォシュレット、水栓金具、洗面化粧台、システムバス等
【品目により数%〜十数%】
調達コストなどの外部環境の深刻化、労務・物流コストの上昇継続。
2026年
8月以降
LIXILトイレ、水栓、浴室、キッチン、住宅サッシ、エクステリア等
【平均8%〜15%】
中東情勢の緊迫化を背景としたエネルギーコスト上昇、購入部材や物流費の高騰長期化。