住宅展示場に行く前に読みたい|ご夫婦からいただいた「10の疑問」

先日、これから家づくりを始めようとされているご夫婦とお話しする機会がありました。とても素直で、こちらまで背筋が伸びるような感じの良いお二人だったのですが、打合せの最初に「僕たちは何もわからなくて……。気になったことを10個メモしてきたんです」と見せてくれました。

そこには、家づくりのネット情報やSNSを見て感じた、リアルな疑問がズラリと並んでいました。

どれも非常に基本的でありながら、実は家づくりの本質を突いた、とても大切なことばかり。 これはきっと、これから滋賀で家を建てようとしている多くの方が、同じようにモヤモヤしているポイントのはずです。

こんにちは。滋賀県栗東市六地蔵で「いえのたね」を運営するベストハウスネクストの吉本です。

今回は、このご夫婦が持ってきてくれた10の「疑問」を、30年以上現場に立ってきた私の経験も交えながら、一つひとつ丁寧に向き合って、分かりやすく仕分けしていきたいと思います。

Q1. 「断熱が高い家は、魔法瓶みたいで夏は逆に暑くならないですか?」

【回答】断熱が良い家ほど、エアコンがすぐ効いて夏も涼しく過ごせます。

「温まったものは冷めにくい」というイメージから、夏に熱がこもってサウナのようになるのでは?と心配される方はとても多いです。

ですが、今の日本の猛暑において、夏にエアコンを一切使わないお家はありませんよね。 断熱がカチッと効いている家は、外からの強烈な熱気をシャットアウトしてくれます。そのため、エアコンをつけるとすぐに部屋が涼しくなり、一度冷えた空気が魔法瓶のようにずっと維持されます。少ない電気代で、短時間に涼しくなるわけです。

逆に断熱が弱い家は、外から熱と湿気が絶え間なく入ってくるため、エアコンがフル稼働してもなかなか効きません。昔の古い家で「エアコンの前にいないと暑い」と感じた経験があるかと思いますが、あれが断熱の弱いお家の特徴です。

Q2. 「隙間のない(高気密)家って、息苦しくないですか?」

【回答】法律で義務づけられた24時間換気があるため、息苦しくなることは絶対にありません。

今の住宅は、建築基準法で「24時間換気システム」を取り付けることが義務づけられています。窓を閉め切っていても、1時間に部屋の空気の半分が丸ごと入れ替わるように計算されているため、窒息するようなことはありません。もちろん、普通に窓を開けて風を通すことも可能です。

むしろ、気密が低い(隙間だらけの)お家のほうが、空気の流れが淀みやすくなります。 これは「穴の空いたストロー」をイメージすると分かりやすいです。ストローにたくさん穴が空いていると、いくら吸ってもジュースが入ってきませんよね。換気扇も同じで、お家に隙間だらけだと、換気扇の周りの空気だけが虚しく入れ替わるだけで、お家全体の空気は淀んだままになってしまいます。

隙間をなくして気密を高くするからこそ、家全体の空気が計画通りに綺麗に入れ替わるのです。

Q3. 「高気密・高断熱って、ただ建築費が高くなるだけで意味がないのでは?」

【回答】トータルのコスト(家を建ててからかかるお金)で計算すると、実は一番おトクです。

家づくりにかかるお金は、建てる時だけの費用(イニシャルコスト)だけで考えてはいけません。 住み始めてから毎月かかる電気代などの生活費(ランニングコスト)を合算した「トータルの支出」で考える必要があります。

性能の低い家は、建てる時は少し安く抑えられますが、住み始めてからの光熱費がずっと高くつき、何十年も家計を圧迫し続けます。特に電気代の高騰が激しい今の時代、お家の性能を高めておくことで、10年、長く見積もっても20年以内には、建てる時にかかった差額を十分に回収することができます。

光熱費を抑えた分を、家族のお出かけや美味しいご飯に回したほうが、これからの人生は絶対に豊かになります。

Q4. 「エアコンを使う夏や冬は、24時間換気を止めた方が快適ですか?」

【回答】基本的には止めないでください。ただし、季節に合わせた使い方の工夫は大切です。

特にジメジメした滋賀の夏場は、「窓を開けて換気した方が気持ちいい」と思いがちですが、外の湿気を大量に室内に取り込んでしまうため、かえって不快になり、エアコンの電気代が跳ね上がります。夏は窓を閉めて、換気システムとエアコンを併用するのが一番カラッと快適です。

冬場など、過乾燥や冷気が気になる場合は、お家の状態に合わせて換気量を少し調整するのも手です。私たちはよく「二酸化炭素(CO2)モニター」を置いて、お部屋の空気の汚れ具合を目で見ながら調整することをおすすめしています。数字で測って判断するのが、一番安心できます。

Q5. 「パッシブ設計(太陽や風の力を借りる設計)って、日当たりのいい土地じゃないと意味ないですよね?」

【回答】いいえ、むしろ条件の厳しい土地こそ、設計のアイデアが光るパッシブ設計の出番です。

周りが開けた日当たり100点満点の南道路の土地なら、誰がどう建ててもある程度は日が入ります(土地代ももの凄く高いですが……)。

本当に設計力が必要とされるのは、北側道路の土地や、周りを建物に囲まれた狭小地、変形地など、条件が厳しい場所です。 「お隣の影を避けて、どの高さから冬の太陽光を取り込むか」「夏の西日を遮るために、どの位置に窓を配置するか」という工夫を凝らすことで、一見暗そうに見える土地でも、驚くほど明るく、冬でも温かいお家に仕上げることができます。土地の制約があるからこそ、予算を抑えつつ最高のポテンシャルを引き出す設計の面白さがあるのです。

Q6. 「高断熱の家は、昼間の暑さが夜まで残って寝苦しくなりませんか?」

【回答】それは運用の問題です。むしろ断熱が低い家のほうが、夜の寝苦しさは過酷になります。

昼間にカンカン照りの太陽にさらされた屋根や壁は、もの凄く熱を蓄えます。 断熱の低いお家は、その蓄えられた熱が夜になってから室内にじわじわと伝わって(輻射熱として)放射され続けるため、夜中ずっとサウナの中にいるように寝苦しくなります。

しっかり断熱されていれば、外壁が熱を持っても、その熱を室内に通しません。夜、外の風が涼しくなれば窓を開けて熱を逃がせば良いですし、今の日本の気候であれば、エアコンを28℃設定などで静かにかけておくのが一番健康的でぐっすり眠れます。

Q7. 「気密が高いと、お家の中で料理をした匂いがこもりやすいですか?」

【回答】全くの逆です。気密が高い家ほど、匂いは一瞬で抜けていきます。

Q2のストローのお話と同じです。 気密がしっかり取れていて、空気の入り口(給気口)と出口(換気扇)が一本のルートでつながっているお家は、嫌な匂いや調理の煙を、狙い通りに最短距離で外へ引っ張っていってくれます。

一方で、隙間だらけのお家は、換気扇のスイッチを入れてもあちこちの隙間から空気が勝手に入り混じって淀むため、匂いがいつまでも部屋の中に残ってしまいます。焼肉をした次の日の朝、「なんだかまだ匂うな……」となるのは、気密が足りていない証拠です。

Q8. 「庇(ひさし)や軒(のき)を長く出しておけば、夏の日差しは防げますか?」

【回答】軒だけでは半分。朝夕の低い日差しを防ぐには、もう一つの工夫が必要です。

日本の伝統的な日本家屋のように、軒を深く出す設計はとても大切です。夏の高い位置にあるお昼前後の太陽光は、これだけで綺麗にカットすることができます。

ただし、太陽は動きます。夏であっても、朝の東からの日差しや、夕方の強烈な西日は、横から低い角度で室内に差し込んでくるため、上にある軒だけでは防ぎきれません。 そのため、窓の外側にアウターシェード(日よけスダレ)を付けたり、落葉樹を植えて夏だけ葉っぱで日陰を作ったりする工夫を組み合わせるのが基本になります。

Q9. 「24時間換気を使うと、花粉や黄砂がお家に入ってきませんか?」

【回答】給気口の高性能なフィルターでほとんどカットできます。ただし、一番の侵入経路は「人間」です。

換気システムに入る空気は、フィルターを通ってくるため、室内の空気のきれいさは外よりずっと高くなります。

ただ、どれだけ高性能な換気フィルターをつけても、私たちが外から帰ってきたときに、服や髪に大量の花粉や黄砂をくっつけて家の中に持ち込んでしまっては意味がありません。玄関の近くにコート掛けを設けたり、空気清浄機を置くなど、日々の生活習慣に合わせた間取りの工夫が大切です。 また、フィルターは「汚れたらこまめに交換・お手入れしやすい位置(天井ではなく、壁の低い位置など)」に設置されているか、設計時にチェックしておきましょう。

Q10. 「やっぱり、大手のハウスメーカーのほうが性能は上ですよね?」

【回答】一概にそうとは言えません。特に「気密性能」は、地元の丁寧な工務店のほうが優れているケースが多々あります。

大手のハウスメーカーさんは、工場で部材を大量生産するため、耐震性や耐久性の「基準」はとても均一でしっかりしています。

しかし、お家の温かさを決める「断熱」、特に隙間を無くす「気密」の工事は、どれだけ最先端の工場で作っても、最終的には「現場で作業する職人さんの丁寧な手仕事」に100%依存します。大手の現場では、下請けの会社が次々と入れ替わって施工するため、隙間の処理(気密)にバラつきが出やすいのが現実です。

私たちのような地元の工務店は、顔の見える腕の良い職人チームとマンツーマンで、一棟一棟「気密測定(C値の実測)」を行いながら、隙間を目で確認して作っていきます。性能の数字をごまかさずに出せる誠実な工務店であれば、大手に負けない、むしろそれ以上の温かいお家をつくることができます。

まとめ:疑問を持てることこそが、良い家づくりの第一歩

今回の10個の疑問。 皆さんはいくつ「なるほど」と思われたでしょうか。

冒頭でご紹介したご夫婦も、一つひとつ理由を説明していくと、「なるほど!だからSNSではこう言われていたんですね」「モヤモヤがすっきりしました!」と、とても晴れやかな表情をされていました。

家づくりは、知らないことばかりで不安になって当然です。 大切なのは、その不安や疑問を「こんな初歩的なこと聞いていいのかな……」と胸にしまい込まずに、何でも正直にぶつけられるパートナーを見つけること。

性能やお金の難しい数字は、私たちがプロとして冷徹に、そして分かりやすく仕分けします。皆さんは何の心配もなく、これから始まる新しい暮らしにワクワクしながら、家づくりを心から愉しんでいただければと思います。

  • 「今のうちの検討プラン、気密や断熱のバランスは大丈夫?」
  • 「ネットで見たあの設備、実際の使い勝手を教えてほしい」

そんな疑問をお持ちの方は、いつでも栗東市六地蔵の「いえのたね」へお越しください。お茶を飲みながら、あなたの疑問にトコトンお答えいたします。