「実家をどうしよう…」と悩むあなたへ・空き家相続のリアル|遠方の空き家・山林と格闘した私の2年間
最近、私は彦根市にある伊藤仏壇店さんと一緒に、「終活(人生の終わりに向けた準備活動)」のセミナー活動に携わらせていただいています。竜王町のお寺などを会場にして、地域の方々にお集まりいただき、それぞれの専門分野からお話をさせてもらっているのですが、そこで私の担当しているのが「不動産と相続」のお話です。
実は、この活動を本格的にやろうと決めた背景には、私自身のとても泥臭い、そして身を削るような実体験があります。
今から約5年前、私の奥様(連れ合い)のもとに、突然降って湧いたように「相続」の話が舞い込んできました。
亡くれたのは、奥様の義理のお父さんの弟さん(叔父さん)にあたる方。その方は幼い頃に養子に出られた方で、お子様もいらっしゃいませんでした。親族関係をずーっと辿っていった結果、相続人となったのは、当時存命だった義理のお父さんの弟さん、うちの奥様、そしてその叔父さんの兄弟3人、合わせて5人でした。
時代でしょうか。養子にいかれたあと。。。 青森から岡山、大阪などなど。
住所移転、本籍移転があったので戸籍や住民票をそろえるのに数万円かかりました(涙)
相続の内容は現金以外には、以下の不動産と財産でした。
- 兵庫県豊岡市にある古い空き家
- 香美町(カニで有名な香住のエリア)にある古い空き家
- 中古の乗用車
- 香美町にある約6,000坪の広大な「山林」
誰も使っていない遠方の不動産をどう処分していいかわからない。。ということで普段から滋賀で家づくりや不動産の実務に携わっている私が担当することに。。。
ここから、2年間にわたる「空き家処分」が始まりました。
片道4時間。現地で突きつけられた「お値段はつきません」という現実
まずは状況を把握するために、役所や法務局から謄本を取り寄せ、所在地を確認。そして、滋賀から片道3〜4時間(往復で丸一日かかります)かけて、兵庫県の現地へと向かいます。
実際に自分の目で見たその土地は、想像以上に厳しい不動産=負動産。
豊岡市にある約200坪の敷地に建つ古い家は、道路から家に入るまでの専用通路(接道)が1.5メートル弱しかありません。軽自動車がやっとこさ、サイドミラーを擦りそうになりながら通れるかどうかの狭さです。
もう一軒の香美町にある約200坪の古い家も、同じように軽自動車がギリギリ通れる程度で、駐車場スペースがありませんでした。車社会の田舎にあって「駐車場がない、車が入らない」というのは、不動産として致命的な弱点です。
地元の法務局や市役所を回り、豊岡におられた知り合い野の不動産業者にも声をかけましたが、返ってきた言葉は。
「吉本さん、この場所でこの条件だと、お値段をつけられませんよ」
そう言われても、このまま放置すれば「特定空き家」に指定され、固定資産税が跳ね上がったり、近隣に迷惑をかけたりしてしまいます。
次に近隣の家や、山林の境界に接している地主さんたちのお宅を直接、一軒ずつ訪問。 「ここの持ち主だった叔父が亡くなりまして、どなたかこの土地や山を引き取っていただけませんか?」
しかし、訪ねた先の方々も皆さんご高齢です。「今さら100万円も200万円も出して、使い道のない土地を買い取る必要はないよね」と、すべて断られてしまいました。
動物の死骸、雨漏り、割れたガラス。登録までに持ち出した「200万円」
次に私が向かったのは、市役所。 市役所では移住や住み替えを推進しており、独自の「空き家バンク」を運営しています。空き家バンクを活用すれば、家財道具の処分に上限10万円ほどの補助金が出るとのこと。
しかし、肝心の「家の中」は、目を覆いたくなるような惨状。
何十年分もの家財道具がそのまま放置され、窓ガラスは割れ、屋根からは雨漏り。長年の放置によって野生動物(イタチやハクビシンなど)が侵入し、糞尿の臭いが立ち込め、中には大きな鹿さんの死骸まで転がっているような状態です。
そして仏壇もそのままに 中には骨壺もあったり。。。
「このままでは、空き家バンクの写真を撮ることすらできない」
窓ガラスの修理、鍵の取り替え、雨漏りの簡易補修、そして凄まじい量の家財道具の撤去とクリーニングを手配しました。
かかった費用は、1軒あたり約100万円。2軒で合計200万円弱のお金を、まずは私が自分のポケットマネーから一時的に立て替え。
中をすっきりと片付け、畳を上げ、なんとか見られる状態にして写真を撮影し、ようやく空き家バンクに登録。さらに、ネットの「0円不動産」のような空き家マッチングサイトにも、ありとあらゆる情報を載せて、2年間の売却活動をスタート。
外国人からの打診と、親族が下した「譲れない一線」
インターネットに掲載していると、何件か問い合わせが入るようになりました。特に多かったのが、中国をはじめとする外国籍の方々からの買い取りの打診でした。
「山林も空き家も、言い値で丸ごと買い取ります」
一見、すぐに処分できてお金も入るため、魅力的な話に聞こえるかもしれません。しかし、私たちはその打診をすべてお断りしました。
近年、日本の地方の山林や空き家が外国資本に買われ、そこに巨大なソーラーパネルが敷き詰められたり、管理が放棄されて土砂崩れのリスクが高まったりするトラブルが全国で相次いでいます。 「私たちが手放したあとに、豊岡や香美町の近隣の方々に迷惑がかかるような売られ方は、絶対に避けたい」
これは、うちの奥様も含めた親族全員の、譲れない共通の意思でした。
そこからさらに維持管理の日々が続きました。 3ヶ月に1回、往復8時間をかけて、1泊2日のスケジュールで兵庫へ通いました。雑草を刈り、風を通し、建物の状態を確認する。その都度かかるガソリン代、高速代、宿泊費、食事代も、すべて自分たちで負担しながらじっと買い手を待ち続けました。
2年間の戦いの結末と、実務者として学んだ「手続きの極意」
空き家バンクの掲載期限(2年)が迫ろうとしていた頃、奇跡的に2軒とも買い手が見つかりました。
1軒(香美町の山林付きの家)は、大阪にお住まいの方が「趣味の別荘としてセルフビルドをしながら使いたい」と、150万円で購入してくれました。 もう1軒(豊岡市の専用通路の家)は、若い移住者の方が「田舎暮らしの拠点にしたい」と、約90万円で引き取ってくれました。
売却額は、2軒合わせて約240万円。 しかし、ここからが「引き算」の現実です。
事前に私が持ち出した清掃・補修費用(200万円弱)、そして2年間で何度も往復した旅費や宿泊費、維持管理の諸経費をすべて精算すると、最終的に手元に残ったのは、わずか数十万円でした。これを相続人5人で等分し、一人あたり数万円を受け取って、ようやくすべての相続が完了したのです。
この一連の作業を進めるにあたり、私が実務の面で最も気を使ったのが「名義の整理」でした。
不動産を5人の共有名義のままにしておくと、いざ売買契約を結ぶときに「5人分の署名、5人分の印鑑証明、5人の予定合わせ」が必要になり、手続きが途方もなく面倒になります。 そこで私は、相続が始まって半年以内に「遺産分割協議」をしっかりと行い、「売却手続きをスムーズにするために、一旦すべての名義を私の奥様一人に集約する」という合意を取り付けました。
これができたのは、親族の皆さんに対して日頃からの信頼関係を築けていたからかなっと。
もしこれが、数千万円、数億円の価値がある土地だったら、あるいは私のような実務に慣れた人間が間に入っていければ、親族同士が欲や不信感でぶつかり合い、今でも解決せずにお互いに絶縁状態になっていたかもしれません。
だからこそ、私はあなたの「最初の相談相手」になりたい
この5年前の経験を通じて、 田舎の不動産や空き家の相続は、専門の知識を持って、かつ自分のことのように泥をかぶって動いてくれる「味方」がいないと、絶対に解決できません。
大手不動産業者に相談しても、お金にならない田舎の物件はまともに扱ってくれませんし、高い仲介手数料を取られて終わるのが関の山です。行政の制度も、自分から動いて手続きを調べなければ、誰も親切に手取り足取り教えてはくれません。
ということで 私は、滋賀県にお住まいで「実家の片付けや、将来の相続、使っていない空き家の処分」に不安を抱えている方々の、頼れる相談相手になりたいと思っています。
セミナーでお伝えしているのも、単なる法律の知識ではありません。 親族の間でどうやって信頼関係を保つか、どこにお金をかけて、どこを引き算するべきかという、私の実体験に基づいた「生きているアドバイス」。
「親が元気なうちに、実家の名義やハザードマップの状況を整理しておきたい」 「遠方にある空き家、誰も使っていないけれど、何から手を付けたらいい?」
そんな不安をお持ちの方は、ぜひ一度、栗東市六地蔵の「いえのたね」へお越しください。 私の笑い話のような、でも本気の苦労ストーリーをすべてお話ししながら、あなたのご家族が将来、お金や不動産のことで大切な絆を壊してしまわないための、一番優しい解決策を一緒に考えていきましょう。

