槍鉋 失われつつある技と伝統


現在進めているお寺の改修工事では、フローリング材の仕上げに「槍鉋(やりがんな)」という、古来の神社仏閣で使われてきた特別な鉋(かんな)を用いています

槍鉋はその名のとおり槍のような形をした刃物で、現代の一般住宅ではほとんど目にすることがなく、扱える職人も非常に限られています。

今回の工事は、まさに“伝統の技術を未来へつなぐ”現場となっています。

私が槍鉋を知ったのは 法隆寺の鬼といわれた西岡棟梁の本「木のいのち 木のこころ」からです。

槍鉋の歴史は古く、飛鳥時代に存在していたとされていましたしたが15世紀ごろにはすたれてしまいました。

そんな中西岡棟梁は法隆寺の柱を見て「どんな道具で削ったのか?」と考えたそうでそこから始まりました。

西岡棟梁が調べていくうちに 槍の穂先のような形の鉋がありそれで仕上げていたことが判明。

そして文献や正倉院に残っていた道具で槍鉋を復元し そして絵巻物などを参考に使い方を研究。

しかし出来上がったものは思った仕上げにはならず、その原因は「鉄」ではないかと飛鳥時代の釘を集め溶かして作り完成したそうなんです。

そんな話を聞き感動しました。

当時の大工は、この槍鉋を使って柱や床板、梁などの木材を仕上げていました。

現代の鉋が「押して仕上げる」道具であるのに対し、槍鉋は「引きながら削る」独特の構造を持っています。

動画をご覧ください。

これにより、木目に沿って滑らかに削ることができ、木肌はまるで絹のようにしっとりとした光沢を生み出します。

特に神社仏閣の床には、槍鉋で仕上げられた独特の風合いが見られます。

木の繊維を潰さずに整えるため、経年変化とともにより深い艶が現れ、素足で歩くと心地よい肌触りになります。これは機械仕上げでは決して出せない、手仕事ならではの質感です。

しかし、槍鉋は習得が難しく、大きな力と繊細な刃物のコントロールを必要とするため、現代の建築現場ではほとんど使われなくなりました。

量産化・機械化が進む中で、古来の職人技は次第に姿を消しつつあります。

そんな中、今回の工事では、この貴重な槍鉋仕上げを採用し、床材を一本一本丁寧に削り出しています。

現場には木の香りが満ち、槍鉋の刃が通るたびに美しい木肌が現れる瞬間は、まさに“ものづくりの原点”を感じさせてくれます。

歴史あるお寺の改修において、伝統技術と現代の建築が交差するこの時間は、職人にとっても私たち施工者にとっても大きな学びであり、誇りでもあります。

完成した時、きっと訪れる方々にとっても、その美しさが静かに語りかけてくれることでしょう。

家づくりを天職に、この業界に入って30年以上たちました。

滋賀県栗東市六地蔵に築50年以上の民家を性能向上リノベ・ショールーム開設!

松尾設計室監修 床下と小屋裏エアコンを施工。C値は0.1以下を達成。

過去に担当した住まいが知事賞や建築士会長賞を受賞。

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