【断熱と健康】断熱は「光熱費」だけで元を取ろうとするから間違えるという話
医療費が浮くというデータ。工務店が教える、一番コストパフォーマンスが良い断熱の投資価値
- 「これだけ物価が上がっているなら、断熱性能を高めるためにお金をかけるのはもったいない気がする」
- 「断熱リフォームにかかった費用を、毎月の電気代(暖冷房費)の削減だけで回収しようとすると、30年近くもかかるって本当?」
これから家を建てる方、あるいは実家のリフォームを考えている方から、このようなご質問をいただくことが本当によくあります。確かに、国の試算を見ても、電気代の元を取る(投資を回収する)には17年〜35年という長い期間がかかるのも事実です 。
でも、ちょっと待ってください。
断熱の価値を「光熱費の損得だけ」で計算しようとすること自体が、そもそも大きな間違いなんです。
こんにちは。滋賀県栗東市六地蔵で「いえのたね」を運営するベストハウスネクストの吉本です。
今回は、近畿大学理工学部の岩前教授らによる「健康維持がもたらす間接的便益(NEB)」という学術データ(エビデンス)を基に、家を暖かくすることの本当の投資価値をお話しします 。
① 断熱リフォームの費用は、わずか「11年」で回収できるという衝撃
住宅の断熱性能を上げて家の中を暖かくすると、そこに住む家族の健康状態が劇的に良くなることが、膨大な医学的・建築学的調査によって完全に証明されています 。
- 室温の上昇で血圧が劇的に低下: 冬場の早朝、寒い自宅での起床時に比べて、しっかり断熱された暖かいお家では、起床時の最高血圧が「32mm」も低下し、ヒートショックや脳血管疾患のリスクが大幅に減ります 。
- 病気やアレルギーの改善率「94%」: 高断熱住宅に引っ越した(あるいはリフォームした)方のうち、実に94%もの人が「これまで悩まされていた気管支喘息やアトピー、関節炎などの症状が改善した」と回答しています 。
ここで、お金の話。 岩前教授らの共同研究(日本建築学会環境系論文集)によると、100万円をかけて断熱改修を行った場合、「光熱費の削減だけ」だと回収に29年かかります 。
しかし、家が暖かくなったことで病院に通う回数が減る、つまり「医療費の軽減による便益」を加算すると、投資回収年数は一気に「16年」へ短縮されます。さらに、健康保険からの公的負担便益まで含めると、実質わずか「11年」で100万円の工事費の元が取れてしまうという、データが出ているのです。
【断熱改修の投資回収年数のファクト】
* 光熱費削減だけ:29年
* 医療費軽減(健康便益)をプラス:16年
* 公的負担便益までプラス:11年
断熱にお金をかけるということは、目先の電気代を浮かすための節約ではなく、家族が一生健康に暮らすための、最も確実な「健康投資」なわけですね。
② 家全体をやろうとしない。だからこそ「部分断熱」という知恵
「断熱が体に良いのは分かったけれど、やっぱり家全体を新築並みに直す予算はない……」
そう思われたなら、私たちの得意とする「引き算の設計(利用方法の絞り込み)」の出番です 。
岩前教授らの既存住宅の断熱改修調査でも実証されている通り、リフォームの際に家全体を完全に覆おうとすると、材料費も職人さんの工期も膨らんでコストが跳ね上がってしまいます 。
ですから、使っていない2階や客間はあえて現状のままとし、ご夫婦が毎日を最も長く過ごす「LDK + 寝室 + トイレ + 脱衣所」という生活ゾーンだけに絞って、部分断熱(ゾーン断熱)を行うのが最も賢いやり方です 。
特に寒さを直接感じて心臓に負担がかかる脱衣所やトイレをピンポイントで高断熱化(窓に樹脂の内窓を付け、床下と天井裏に断熱材を敷き詰める)するだけで、早朝の室温は6℃から15℃へと劇的に改善されます 。
まとめ:機械に依存しすぎず、頑丈なシェルターをつくる
製品としてのエアコンや最新の住宅設備(全館空調の機械など)は、10年、15年も経てば必ず機械の寿命が来て壊れ、その都度高い交換費用がかかります 。
しかし、お家の壁・窓・床下に施した「断熱(建物の高シェルター化)」は、一度しっかり作ってカルテ(修繕履歴)として残しておけば、30年先、40年先まで機械のように壊れることなく、家族の健康を守り続け、お家の資産価値を維持し続けてくれます 。
予算や性能といった現実的な数字は、私たちが計算します。その安全な土台(根拠)をしっかり作った上で、お客様には「冬でも素足で無垢の床を歩きながら、おおらかな気持ちで日々の暮らしを心から愉しんで」ほしい。これが私たちの家づくりのスタンス。
「うちの築37年の日本家屋、部分断熱をするとしたら、どこから手を付けるのが一番安くて効果的?」 「医療費や光熱費の負担を減らす、我が家だけの正しい予算の黄金比を教えてほしい」
そう思われた方は、いつでも栗東市六地蔵の「いえのたね」へお越しください。お茶飲み友達のような感覚で、これからのご家族の人生のスケジュールや、理想の暮らしの解像度を、一緒にゆっくりと紐解いていきましょう~

