平屋で考える、栗東市のリアルな水害リスク~

新築を建てる際、『ハザードマップを確認する』ということが随分と一般的になってきました。

栗東市で平屋の新築を検討している方から引き続き色々とご質問を頂いています。
地域工務店として災害の資料を集めてるので、少しご紹介したいと思います。

公式な資料として 滋賀県では古代から(なんと西暦567年!)記録として残っている災害をまとめたものが公開されているのをご存じでしょうか。

『滋賀県災害誌』って言います。
その最新号から読み解いてみると意外な事実が見えてきました。

ちなみに 冒頭ではこんな紹介文が以下の通り

この滋賀県災害誌(第 5 部)は、第 1 部(古代~昭和 40 年)、第 2 部(昭和 41 年

~昭和 52 年)、第 3 部(昭和 53 年~昭和 62 年)、第 4 部(昭和 63 年~平成 10 年)

の滋賀県災害誌の後を補うべく、平成 11 年から平成 20 年までの滋賀県内で発生し

た自然災害および事故災害の概要とその被害状況を各種の資料を基に取りまとめた

ものです。

「守る力」の向上:大規模な床上浸水は激減している

過去の資料 滋賀県内では明治から昭和初期にかけては数万戸単位の床上浸水が発生していました。
しかし、近年のデータではその数は激減しています。
明治〜昭和期のような「数千戸が流失する」といった壊滅的被害は一件も起きていません。

  • インフラの進化: 2013年の台風18号で決壊した金勝川をはじめ、市内の主要河川は大幅に改修され、災害級の同じ雨量でも耐えられるように更新されました。
  • 流域治水の浸透: 滋賀県が推進する「田んぼダム」や調節池の整備により、河川が氾濫する前に水を食い止める「社会のダム」が機能している。
  • 治水安全度の向上: 堤防の強化や排水ポンプの整備により、河川が「溢れる」前に「逃がす」能力が格段に向上しています。
  • 結論: 都市計画において、「大規模氾濫」が発生する確率は、歴史的に見ても極めて低く抑えられています。
  • これから50年、雨量が増えたとしても、行政はさらに治水予算を投じます。公共インフラが多くのリスクを遮断してもらえるものと思われます。

栗東市「床上」と「床下」の圧倒的な確率差

資料(第5部)に記された栗東市の被害状況をから、以下の傾向が確認できます。

浸水被害の統計を冷静に見ると、

  • 統計が示す現実: 2013年の台風18号(栗東市)では、床上浸水が12棟に対し、床下浸水は127棟と、10倍以上の差がありました。
  • 教訓: 現代の住宅地で発生する水害の9割以上は、床上まで届かない「床下浸水」です。「1割以下の確率」に備える施工は投資効果としてよく検討しなければなりませんね。

新築計画に考える「コスパがいい」の耐水害スペック

栗東市という土地の歴史と最新データを踏まえた、より賢い(コスパの良い)選択肢として参考までにまとめておきます。

① 「床下浸水対策」に一点集中する

「床下浸水までを許容し、かつ被害をゼロにする」仕様が最も合理的です。

  • 高基礎の採用: 基礎を通常より20〜30cm高くするだけで、統計上の床上浸水リスクのほとんどを回避できます。
  • 基礎断熱・防水処理: 万一床下に水が入っても、洗浄・消毒が容易で、構造材を傷めない仕様を選びます

② 浮いた予算を「日常の豊かさ」に回す

オプションで追加で金額を出すよりも、以下のような「50年間の暮らしを支える設備」に回す方が、幸福度は圧倒的に高まります。

  • 太陽光発電+蓄電池: 浸水よりも発生確率の高い「停電」への備えになります。
  • 断熱性能の向上: 50年間の光熱費を削減し、健康を守る投資になります。

まとめ:栗東での家づくり・正解はないけれど。。。

「第5部」のデータが証明しているのは、「現代の水害は、床下で止まるものがほとんどである」という事実です。

今回ご相談いただいた地域は100年に1度の大雨(2013年の倍の雨量)で0.5m浸水する地域でした。
毎年確実にやってくる夏と冬の快適さとに賢く投資することも視野に入れて見て頂ければと思います。